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運動療法

読み方
うんどうりょうほう

運動療法とは

運動療法(うんどうりょうほう)とは、運動を通じて障害や疾患の症状を改善したり予防したりすることを目的とした治療法です。

単に体を動かすだけでなく、患者さんの状態に合わせて適切な運動の種類や強度、頻度を設定し、計画的に実施することが特徴です。

かつては脳卒中後の麻痺や骨折、腰痛などの整形外科的な疾患に対する治療法として主に用いられていましたが、近年では生活習慣病の改善や予防、心臓リハビリテーション、呼吸リハビリテーションなど、内科的な疾患に対しても積極的に活用されるようになってきました。

運動療法は、薬物療法や手術療法と並んで重要な治療法の一つとして位置づけられており、多くの疾患において他の治療法と組み合わせて用いられています。特に生活習慣病の改善や予防においては、運動療法と食事療法が基本となり、必要に応じて薬物療法も併用されるのが一般的です。

運動療法の種類

運動療法には様々な種類がありますが、主なものとして以下の4つが挙げられます。

  • 有酸素運動
  • 無酸素運動
  • 筋力トレーニング
  • ストレッチング

これらの運動は、患者さんの状態や治療の目的に応じて適切に選択され、組み合わせて実施されます。

有酸素運動

有酸素運動は、筋肉を動かすエネルギー源として糖質や脂質とともに酸素を使って行う運動です。息が弾むくらいの強度で、比較的筋肉への負荷が軽い運動が中心となります。

具体的には、ウォーキング、体操、エアロビクス、エアロバイク、水泳、水中ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ハイキングなどが有酸素運動に該当します。

有酸素運動は、脂質や糖質をエネルギー源として使うため、血中脂質や血糖の減少が期待できます。そのため、高血圧や高血糖、脂質代謝異常などの改善に効果があります。また、心肺機能の改善や骨粗鬆症の予防にも役立ちます。

無酸素運動

無酸素運動は、酸素を使わずに筋肉を動かす負荷の強い運動です。有酸素運動に比べて短い時間に多くのエネルギーを必要とします。

無酸素運動の例としては、ダンベルやマシンを用いたトレーニング、スクワットや腕立て伏せなどのレジスタンス運動、短距離走などがあります。

時間当たりの消費エネルギーは大きいですが、乳酸が溜まりやすく疲労しやすいため、長時間の運動には向いていません。筋力や瞬発力の向上に効果があり、基礎代謝を上げる効果も期待できます。

運動療法の効果と適応

運動療法には多くの効果があり、様々な疾患や状態に対して適用されます。主な効果と適応について見ていきましょう。

生活習慣病への効果

運動療法は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の改善や予防に大きな効果があります。

例えば、糖尿病患者さんの場合、運動によって血液中のブドウ糖が消費され、血糖値を下げる効果があります。また、肥満の解消にも繋がり、筋肉などでのインスリンの働きを高める効果も期待できます。

高血圧の患者さんでは、運動によって血管の弾力性が増し、血圧の安定化に繋がります。また、脂質異常症の患者さんでは、運動によって悪玉コレステロールの減少や善玉コレステロールの増加が期待できます。

心臓病への効果

心臓病の患者さんに対する運動療法は、心臓リハビリテーションの一環として行われることが多いです。適切な運動は心臓の血液量を増やし、長期的に心臓機能を改善する効果があります。

また、運動は自律神経機能にも良い影響を与え、心拍数や血圧の安定化に繋がります。さらに、運動によって血液循環が盛んになり、血管の老化を防ぐ効果も期待できます。

運動療法の実施上の注意点

運動療法を安全かつ効果的に実施するためには、いくつかの注意点があります。

個別性の重視

運動療法は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて個別に計画を立てることが重要です。年齢、性別、体力、既往歴、現在の症状など、様々な要因を考慮して適切な運動の種類や強度、頻度を決定します。

例えば、高齢の患者さんの場合は、転倒のリスクを考慮して、安全性の高い運動から始めることが大切です。また、心臓病の患者さんでは、心臓に過度の負担がかからないよう、慎重に運動強度を設定する必要があります。

段階的な実施

運動療法は、徐々に強度や時間を増やしていく段階的なアプローチが重要です。急に激しい運動を始めると、怪我や体調不良のリスクが高まります。

最初は軽い運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていくことで、体が運動に慣れていき、効果も安全に得られます。特に、長期間運動をしていなかった方や高齢の方は、この点に注意が必要です。

段階的な実施

運動療法の効果を最大限に引き出すためには、継続して実施することが不可欠です。一時的な運動では十分な効果が得られません。

そのため、患者さんの生活リズムや好みに合わせて、無理なく続けられる運動計画を立てることが大切です。例えば、毎日の散歩を習慣づけたり、週に数回のジムでのトレーニングを計画したりするなど、患者さんの生活に合わせた継続可能な方法を見つけることが重要です。

運動療法は、多くの疾患や症状の改善に効果がある重要な治療法です。しかし、その実施には専門的な知識と経験が必要です。患者さんの状態を正確に把握し、適切な運動プログラムを作成できる専門家のサポートを受けながら、安全かつ効果的に運動療法を進めていくことが大切です。