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クリミア・コンゴ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱とは
クリミア・コンゴ出血熱(クリミアコンゴしゅっけつねつ)とは、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスによって引き起こされる重篤な感染症です。
この疾患は、ウイルス性出血熱の一種であり、エボラ出血熱やマールブルグ出血熱と同様に、高い致死率を示す危険な感染症として知られています。
クリミアコンゴ出血熱は、主にマダニ(特にHyalomma属)によって媒介されるため、ダニ媒介性感染症としても分類されます。この病気は、アフリカ大陸から東欧、中近東、中央アジア諸国、中国西部にかけて広く分布しており、地理的に非常に広範囲にわたって発生しています。
感染経路
クリミア・コンゴ出血熱の主な感染経路は以下の通りです。
- ウイルスを保有するマダニに咬まれること
- 感染した動物(特に家畜)の血液や体液に接触すること
- 感染者の血液や体液に直接触れること
特に、家畜の屠殺や解体作業に従事する人々、医療従事者、獣医などが感染リスクの高い職業として挙げられます。
症状と経過
クリミア・コンゴ出血熱の潜伏期間は通常2〜9日間です。感染後、以下のような症状が現れます。
- 突然の高熱
- 激しい頭痛
- 筋肉痛や関節痛
- 吐き気や嘔吐
- 腹痛や下痢
病気が進行すると、出血症状が現れることがあります。重症例では、多臓器不全に至ることもあります。
クリミア・コンゴ出血熱の致死率は約30%と非常に高く、生存した場合でも、完全に回復するまでには長期間を要することがあります。
一般的な予防法
- マダニの生息地域では、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を最小限に抑える
- 虫除け剤(DEETなどの有効成分を含むもの)を使用する
- 屋外活動後は、体や衣服にマダニが付着していないか確認する
- マダニに咬まれた場合は、適切な方法で除去し、医療機関を受診する
- 流行地域では、家畜やその他の動物との不必要な接触を避ける
クリミア・コンゴ出血熱は、その高い致死率と感染力から、国際的に重要な感染症の一つとして認識されています。特に、グローバル化に伴う人や物資の移動の増加により、従来の流行地域以外でも発生するリスクが高まっています。
そのため、医療従事者だけでなく、一般の人々も含めた幅広い知識の普及と予防対策の徹底が求められています。