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IgA血管炎
IgA血管炎とは
IgA血管炎(アイジーエーけっかんえん)とは、紫斑、関節痛、腹痛、腎障害を主症状とする全身性の小型血管炎です。
この疾患は、以前はヘノッホ・シェーンライン紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病、アレルギー性紫斑病などと呼ばれていました。
IgA(Immunoglobulin A=免疫グロブリンA)は、粘膜表面に分泌され、血液や体液中に含まれる抗体の一種です。IgA血管炎では、このIgAを含む免疫複合体が血管壁に付着することで炎症を引き起こします。
疫学的特徴
IgA血管炎は、主に小児に発症する疾患として知られています。特に以下のような特徴があります。
- 好発年齢:3~10歳
- 発症率:年間10万人当たり10~20人
- 男女比:1.5~2.0:1(男児にやや多い)
- 季節性:冬に多く、夏に少ない
約半数の症例が5歳以下で発症するという特徴があり、小児の血管炎の中では最も頻度が高い疾患です。
症状
IgA血管炎の主な症状は以下の4つです。
1. 紫斑
最も特徴的な症状で、ほぼ全ての患者に見られます。主に下肢、特に足関節周囲に両側性対称性に出現します。触れることができ、少し盛り上がった紫色の斑点として現れます。
2. 関節炎
約70%の患者に見られます。主に足関節や膝関節、手関節などに痛みや腫れが生じます。通常、両側性に現れ、痛みのために歩行が困難になることもあります。
3. 腹痛
約60%の患者に見られる症状です。血腹痛のほか、嘔吐、血便、下血などの症状が現れることがあります。
4. 腎炎
約50%の患者に見られます。尿蛋白や血尿として現れ、重症の場合はネフローゼ症候群を発症することもあります。
IgA血管炎の原因と発症機序
IgA血管炎の明確な原因はまだ解明されていませんが、免疫系の異常反応が関与していると考えられています。以下のような要因が発症に関連していると考えられています。
1. 先行感染
小児の場合、約半数に上気道炎(特に扁桃炎)の既往があることが分かっています。主な病原体として以下が挙げられます。
- A群溶連菌
- マイコプラズマ
- ウイルス(水痘、麻疹、風疹など)
2. その他の要因
- 薬剤アレルギー
- 悪性腫瘍(稀)
これらの要因が抗原となり、IgAと結合した免疫複合体を形成します。この免疫複合体が血管壁に沈着することで炎症反応が引き起こされ、IgA血管炎の症状が現れると考えられています。